「なんでも撮れる」を手放す。リゾバに持ち込む機材の引き算
過剰な機材は移動の気力を奪う事実
何でも撮れる装備を揃えれば、記録の質は上がる。頭では分かっていても、実際に持ち運ぶ段になると話は別だ。
数ヶ月単位の滞在先を渡り歩く生活では、荷物の総量がそのまま移動の気力に直結する。カメラバッグひとつとっても、レンズを何本も詰め込めば肩にかかる負荷は増え、空港での乗り換えや宿舎までの道のりで、確実に体力を削られる。
機材を選ぶという行為は、何を諦めるかを決める行為でもある。すべてを持っていく発想を手放したところから、自分なりの装備が見えてきた。

今回は写真に絞る。動画は、また別の話
動画を撮るという選択肢も、正直なところ頭をよぎる。実際、動画用の機材はすでに手元にある。ただ、それをリゾバの現場に持ち込むかどうかは、また別の判断だ。
今回の荷物には、動画機材を入れない。写真一本に絞ることで、荷物はさらに軽くなり、撮る対象を選ぶ基準もはっきりする。動画をどう組み込むかは、機が熟した時にあらためて考えればいい。
SONY α6400と2本のレンズ。撮りたいものが、レンズを決める
カメラ本体はSONY α6400。ここに、性格の異なる2本のレンズを組み合わせている。レンズを選ぶ基準は、スペックの優劣ではない。何を撮りたいかが先にあって、レンズはその後についてくる。

主役は11mm単焦点。風景と、店で出会う料理を撮るために
普段の主力は11mmの単焦点だ。
きっかけは、去年のバースデートリップだった。旅先で目の前に広がる景色を収めようとした時、それまで使っていたレンズでは画角が物足りないと感じた。帰ってきてから買い足したのが、この11mmだった。
このレンズを主役に据えている理由は、画角の広さだけではない。F1.8という明るさが、もうひとつの決め手になっている。滞在先で見つけたカフェやレストランで出される一皿を撮る時、この明るさがそのままボケ感につながる。皿の上の一品に視線が集まる写真になるのは、このレンズの力による部分が大きい。

風景と、旅先で出会う食事。撮りたい対象がこの2つに寄っているからこそ、11mmが主役になっている。
日が落ちた湯畑の湯気と灯りを収めた一枚も、同じレンズによるものだ。F1.8の明るさは、昼のカフェだけでなく、光の乏しい夜の風景にも効いている。

その代わり手放したもの。リスや鳥は、最初から撮影対象の外にある
被写体を絞るということは、何かを撮らないと決めることでもある。
滞在先を歩いていると、リスや野鳥に出くわす瞬間がある。動くものを追いかけて一枚に収めるには、望遠側の余裕と俊敏な操作が要る。11mmの単焦点にその役割は担わせていない。
出会った瞬間を撮り逃したところで、惜しいとは思わない。何を撮るかを決めた時点で、何を撮らないかも同時に決まっている。それだけの話だ。
撮りたい主役が変わる日は、18-135mmに持ち替える
とはいえ、動物や野鳥をその日の主役に据えたいと思う日もある。そういう時に活きるのが、もう1本の18-135mmだ。
汎用性の高さでいえば、間違いなくこちらが上になる。広角から望遠まで1本でカバーできるため、その日の目的が「街や料理の記録」から「出会った生き物を狙う」に切り替わった瞬間、レンズを持ち替えるだけで対応できる。
2本を常に並べて使うのではなく、その日その日で主役を選び、レンズを替える。この運用そのものが、荷物を増やさずに撮影の幅を確保する方法になっている。

機内持ち込み枠に美しく収めるパッキングの美学
数ヶ月分の荷物はminikuraで先に現地へ送っている。当日持ち歩くのは、機内持ち込みの枠に収まる最小限のものだけだ。カメラとレンズ2本も、この枠の中で完結させる必要がある。
Brady Avonに忍ばせ、日常と非日常をシームレスに繋ぐ
この装備一式を収めているのが、愛用のショルダーバッグ「Brady Avon」だ。
カメラを守るための堅牢さと、日常的に肩から提げても負担にならない軽さ。この両立が、数ヶ月の滞在で毎日使う道具に求められる条件だった。α6400とレンズ2本が過不足なく収まり、赴任先の路地を歩く時も、寮からカフェへ向かう時も、このバッグひとつで完結する。
赴任初日も、休みの日の記録も、同じバッグ、同じ機材で撮る。日常と非日常の境界を曖昧にしていくのが、この装備の役割だ。
このバッグを選んだ経緯や使い込むほどの変化については、以前の記事に書いている。



コメント