新しい現場に到着して、最初の休日に何をするか。
観光でも、買い物でもない。地図を開いて、地元のコーヒーロースターを探す。それが、いつの間にか定着した休日の作法だ。
始まりは2018年の誕生日だったかもしれない。長年お世話になっている株式会社ダイブ(当時の社名はアプリ)から誕生日プレゼントに欲しいものを聞かれ、ミルとドリッパーをリクエストした。それが、リゾバ先でコーヒーを淹れるという習慣の入り口だった。
赴任先での休日は、地元のロースター探しから始まる

リゾバの現場は、北海道の山岳リゾートだったり、沖縄の海沿いのホテルだったり、場所は毎回変わる。変わるからこそ、その土地のコーヒーを探す楽しみがある。
チェーン店ではなく、地元に根を張るロースター。焙煎士が自分の哲学で選んだ豆を売っている小さな店。そこで買った豆を、翌朝自分で挽いて飲む。それだけのことが、「出稼ぎに来た」という感覚を「ここに暮らしている」という感覚に変えていく。
環境が変わるたびに消耗するのか、それとも楽しむのか。その分かれ目は、意外と些細なことで決まる。
スーツケースを手放しても、コーヒーギアは手放さない
かさばる生活基盤の荷物は、あらかじめminikuraで現地宿舎へ直送しておく。当日持ち運ぶのは機内持ち込みサイズのバッグひとつ。コーヒーギアも例外ではなく、着任日に届くよう手配して送る。
当日の移動は身軽に。それでも到着した翌朝には、いつもと同じ道具で一杯が淹れられる状態が整っている。
送っている器具は4点。TIMEMORE C3S、HARIO V60透過ドリッパー 02、PARACITYのグースネックポット350ml、タニタのクッキングスケール KD-187。この4点が現地に届いていれば、どこへ行っても同じ一杯が飲める。
手動ミルで豆を挽く時間が、精神的な余白を作る
TIMEMORE C3Sを選んだ理由は、挽き心地の滑らかさと、全金属ボディが持つ静かな存在感だ。
ハンドルを回す。豆が刃に当たる感触が手に伝わってくる。30秒ほどで挽き終わる。その間、厨房での仕事のことも、人間関係のことも、頭から消えている。
電動ミルにはない、この「手間」が目的だ。効率を上げるための道具ではなく、余計なことを考えずに済む時間を作るための道具として使っている。
V60のドリッパーに粉を落とし、グースネックポットで細く湯を注ぐ。スケールで重さを確認しながら、ゆっくりと抽出する。この一連の動作が終わる頃には、一日を始める準備が整っている。
筋トレとコーヒー。場所が変わってもブレない大人のルーティン

コーヒーと並んで、トレーニングも現場が変わっても途切れさせない習慣だ。
ホテル内にジムがあれば使い、近くに外部のジムがあれば通う。ただ、どちらもないことの方が多い。その場合はネットでダンベルを購入して部屋でトレーニングする。現場の環境に合わせて形は変わるが、やめるという選択肢は最初からない。
仕事が立て込めば、どうしてもできない日もある。厨房の繁忙期はそういう週が続くこともある。だがそれでも、環境だけは整えておく。道具があれば、体が動く日に自然と戻ってこられる。
コーヒーとトレーニング。この二つのルーティンが整っていると、現場が変わっても自分のペースを保てる。場所に馴染もうと無理をしなくていい。自分の軸がある分、新しい環境への入り込みが静かに、早くなる。
まとめ:生活の質は、場所に左右されない
リゾバ=生活の質が下がる、という思い込みがある。寮生活、慣れない土地。確かにそういう側面はある。ただし寮の部屋については、求人を選ぶ段階で個室というフィルターをかけられる。最初から条件として絞れば、相部屋を強いられる心配はない。
残る問題は、道具と習慣だ。
かさばる荷物はminikuraへ預ける。コーヒーギアは着任日に届くよう手配して送る。毎朝同じ手順でコーヒーを淹れ、体を動かす時間を確保する。それだけで、場所が変わっても自分の軸は揺らがない。
どこにいても、大人の余裕を持った滞在は作れる。環境に馴染むのではなく、環境の中に自分の場所を作る。そのための道具と習慣を、丁寧に選んできた結果がこのスタイルだ。
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